試掘とは?目的・方法・ボーリングとの違いを解説

「試掘(しくつ)って何をする工事なの?」と疑問に思っている方もいるでしょう。地下にはガス管・水道管・電線など、多くのライフラインが埋まっています。これらを知らずに掘削すると、深刻な事故につながります。その事故を防ぐのが試掘です。この記事では、試掘の意味・目的・方法・ボーリング調査との違いまで、わかりやすく解説します。

目次

試掘(しくつ)とは

試掘とは、地表から約2mの深さまで試験的に穴を掘り、地下の状態を直接確認する調査方法です。

本格的な工事を始める前の「下調べ」として実施されます。

地下埋設物の位置確認・地層の観察・地盤の性質把握など、複数の目的で使われます。

「しくつ」と読み、土木・建設の現場では日常的に使われる用語です。

試掘の定義

試掘は「地表から2m程度の深さまでつぼ堀りを行い、地層の観察・各種試験・地下埋設物の確認を行う調査」と定義されます。

地下の状態を実際に目で見て確認できるのが、他の調査方法にはない最大の特長です。

深さや広さは目的によって異なりますが、埋設物確認の場合は管の位置が確認できる最小限の範囲で掘るのが基本です。

出典:__施工管理技士のお仕事で良く使う建設用語辞典|地質の試掘とは__

試掘が必要な理由

現代の都市部の地下には、電気・ガス・上下水道・通信ケーブルなど多くのライフラインが埋設されています。

これらの位置を把握しないまま掘削工事を進めると、管を切断してガス漏れや断水を引き起こす危険があります。

また、設計図面に記載されている埋設物の位置と実際の位置がずれているケースも珍しくありません。

試掘で現場の実態を目視確認することで、こうした事故を未然に防ぐことができます。

試掘の主な目的

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試掘には大きく3つの目的があります。

目的によって掘り方・深さ・手順が変わります。

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目的主な対象よく使われる場面
地下埋設物の位置確認ガス管・水道管・電線など道路工事・配管工事前
地質・地盤状態の確認土層・湧水・軟弱地盤建築・橋梁の基礎工事前
埋蔵文化財の調査遺跡・遺構・遺物開発工事前の文化財調査

それぞれ説明します。

地下埋設物の位置確認

もっとも頻度が高い試掘の目的が、地下埋設物の位置確認です。

工事区域に埋設物がある場合、施工前に管理者の立会いのもとで試掘を実施します。

実際に掘って管や電線を目視することで、位置・深さ・規格・構造を正確に把握します。

確認した位置には杭や旗・ペンキなどで目印をつけ、工事中に誤って損傷しないよう管理します。

出典:__農林水産省|第3章 地下埋設物一般__

地質・地盤状態の確認

地盤の性質を把握するために試掘を行うケースもあります。

掘った穴の断面(土層断面)を観察することで、土の種類・硬さ・地下水の有無を直接確認できます。

湧水(地下水がしみ出てくる現象)の有無も目視で確認でき、基礎工法の選定に活かします。

建物の基礎工事や土留め工事の設計精度を高めるための重要な調査です。

埋蔵文化財の調査

開発工事を行う前に、文化財(遺跡・遺構・遺物)が埋まっていないか確認する試掘調査もあります。

この場合はバックホウで幅約1〜2mの帯状の穴(トレンチ)を数本掘り、土層や遺物の有無を確認します。

遺構や遺跡が確認された場合は、本格的な発掘調査が実施されます。

工事の予算・工期・範囲を正確に見積もるための基礎データとして活用されます。

出典:__筑紫野市|確認・試掘調査とは__

試掘の方法と手順

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試掘の方法は「人力」と「重機(バックホウ)」の2種類に大別されます。

どちらを選ぶかは、目的・現場の状況・安全上の制約によって判断します。

人力試掘の流れ

埋設物の近傍を掘る場合は、管を損傷しないよう人力で掘るのが原則です。

手順は次のとおりです。

  • 事前に設計図書・台帳で埋設物の概略位置を確認する
  • 埋設物の管理者および監督職員に立会を依頼する
  • スコップ・ツルハシなどを使い、慎重に人力で掘り下げる
  • 埋設物を目視確認したら、位置・深さ・管径などを記録する
  • 確認箇所に杭・旗・ペンキで目印をつけ、掘削範囲を埋め戻す

重機で掘ると管を傷つける恐れがあるため、埋設物の直上付近は必ず人力で作業します。

重機(バックホウ)を使った試掘

バックホウ浚渫船は自航式(自力で走れる)の浚渫船です。

埋設物がないことが確認された区域や、文化財調査の場合はバックホウを使います。

バックホウは油圧ショベルの一種で、短時間で広い範囲を掘削できます。

文化財調査では幅1〜2m・長さ数mのトレンチ(溝状の掘削穴)を複数本設けて地層を観察します。

掘削後は記録を取り、必要に応じて専門家による観察・サンプリングを行います。

試掘が行われる主な場面

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試掘は、以下のような場面で実施されます。

  • 道路の拡幅・舗装工事の前(ガス管・水道管の位置確認)
  • 下水管や配水管の新設・更新工事の前
  • 建物の解体後に新築工事を行う前(旧建物の基礎・配管の確認)
  • 橋梁や擁壁の基礎工事前(地盤調査の補完)
  • 文化財包蔵地での宅地造成・開発工事前

いずれも「工事を安全に進めるための事前確認」という共通の目的があります。

試掘を省略して工事を進めた結果、ガス管を破損して工事が長期中断したケースも実際に起きています。

試掘とボーリング調査の違い

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試掘とよく比較されるのがボーリング調査です。

どちらも地下の状態を調べる調査ですが、目的・方法・得られる情報が異なります。

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比較項目試掘ボーリング調査
調査深度主に2m程度数十m〜100m以上
調査方法穴を掘って目視確認細い孔を機械で掘削しサンプル採取
主な目的埋設物確認・浅層地質把握深層地盤の性質把握
費用感比較的安価ボーリング深度に応じてコストが高い
確認精度目視で直接確認できる採取試料から分析

浅い範囲を直接確認したいなら試掘、深い地盤の性質を詳細に調べたいならボーリング調査が適しています。

両方を組み合わせて使うケースも多くあります。

試掘に関するよくある質問

試掘は誰でもできるの?

施工管理者や資格保有者の指示のもとで実施するのが基本です。埋設物の立会確認には管理者(ガス会社・水道局など)の同席が必要な場合もあります。工事の規模や目的によっては専門業者への依頼が求められます。

試掘でガス管を傷つけてしまったらどうなるの?

最悪の場合、ガス漏れ・火災・爆発事故につながります。損傷が発生した場合は直ちに作業を中断し、ガス会社や消防に連絡する必要があります。こうした事故を防ぐためにも、事前の試掘と埋設物管理者の立会いが欠かせません。

試掘の費用はどのくらいかかるの?

試掘の費用は現場の状況(掘削深度・土質・交通規制の有無など)によって大きく異なります。一般的な道路の埋設物確認試掘であれば、1箇所あたり数万円〜十数万円程度が目安とされています。正確な金額は施工業者への見積もりで確認してください。

まとめ:試掘は工事の安全を守る事前調査

試掘について、ポイントをまとめます。

  • 試掘とは、地表から約2mの深さを試験的に掘り、地下の状態を目視で確認する調査
  • 主な目的は「地下埋設物の位置確認」「地質・地盤確認」「埋蔵文化財の調査」の3つ
  • 埋設物近傍では人力で掘るのが原則。文化財調査ではバックホウを使うことが多い
  • ボーリング調査より浅い範囲を直接目視確認できる点が特長
  • 試掘を省略すると、ガス管破損などの重大事故につながるリスクがある

試掘は地味に見えますが、工事の安全を守るために欠かせない重要な作業です。

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この記事を書いた人

売上げ30億円規模の建設会社で11年間施工管理従事。億越えの土木公共工事を数多く竣工。2024年Liftco合同会社設立、代表として元請土木建設会社の書類支援サービスを展開しながら、SEOライティングでマーケティングやリクルート支援を行う。

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