浚渫(しゅんせつ)とは?土木の専門用語をわかりやすく解説!

浚渫(しゅんせつ)とは、河川や港湾、湖沼などの水底に堆積した土砂や岩石を取り除く作業のことです。

浚渫は主に以下の目的で行われます。 ・水深を確保して船舶の航行を安全にする ・河川の流れを改善して洪水を防止する ・水質改善や環境保全のために汚染された底質を除去する

浚渫工事では、専用の浚渫船やポンプ浚渫機などの特殊な機械を使用します。工事の規模や目的によって、使用する機械や手法が異なります。

例えば、港湾では大型船舶の航行のために必要な水深を維持するため、定期的に浚渫が行われています。また、ダムでは長年の使用によって堆積した土砂を除去し、貯水能力を回復させるために浚渫が実施されます。

浚渫工事を行うには、河川法や港湾法などの法律に基づく許可が必要です。工事の実施前には環境への影響も詳細に調査し、適切な対策を講じなければなりません。

近年では環境に配慮した浚渫技術の開発も進んでおり、水中生態系への影響を最小限に抑える工法も増えてきています。

目次

浚渫(しゅんせつ)とは の詳細説明

浚渫(しゅんせつ)工事は、水底の土砂や堆積物を取り除く作業であり、いくつかの工法に分けられます。

浚渫工事で主に用いられる工法は以下の3つです。

  • グラブ浚渫:
    • クレーンにバケットを取り付け、水底の土砂をすくい取る方法
  • ポンプ浚渫:
    • 吸引ポンプで土砂を吸い上げる方法
  • バックホウ浚渫:
    • 陸上から重機を使って浅い水域の土砂を掘削する方法

浚渫工事の一般的な手順としては、まず現地調査を行い、水深や底質の状態を確認します。次に浚渫計画を立案し、適切な工法と機械を選定します。その後、実際の浚渫作業を行い、最後に浚渫土の処分を行います。

浚渫で取り除いた土砂(浚渫土)の処理方法も重要な要素です。浚渫土は汚染状況によって、埋立材として再利用されたり、専用の処分場で適切に処理されたりします。

浚渫工事の費用は、工事の規模や場所、使用する機械によって大きく異なります。小規模な河川の浚渫では数百万円から、大規模な港湾浚渫では数億円にのぼることもあります。

浚渫工事は水域の維持管理において欠かせない作業であり、定期的に実施することで、水害防止や船舶航行の安全確保、水質改善などの効果が期待できます。

近年では、環境への影響を最小限に抑えるため、汚濁防止膜の設置や低騒音・低振動の機械の使用など、環境に配慮した浚渫技術の開発も進んでいます。

浚渫を行うための許可

浚渫(しゅんせつ)工事を実施するには、対象となる水域や工事の規模に応じて、複数の法律に基づく許可や申請が必要です。

水域別に必要な法的許可

浚渫を行うために必要な主な許可は水域によって異なります。 ・河川の場合:河川法に基づく「河川法第24条の占用許可」や「河川法第27条の土石等の採取の許可」 ・港湾の場合:港湾法に基づく「港湾区域内水域等占用許可」 ・海岸の場合:海岸法に基づく「海岸保全区域等占用許可」 ・漁港の場合:漁港漁場整備法に基づく「漁港区域内の水域または公共空地の占用許可」

河川での浚渫を行う場合、一級河川であれば河川管理者である国土交通省の河川事務所に、二級河川であれば都道府県に申請します。地方自治体が管理する準用河川や普通河川については、各市町村への申請が必要です。

許可申請に必要な書類と手続き

許可申請にあたっては、浚渫工事の目的や期間、工法、土砂の処理方法などを詳細に記した計画書を提出する必要があります。また、工事による周辺環境への影響評価も求められることが多いです。

申請書類には以下の内容を記載することが一般的です。 ・申請者の氏名や住所 ・浚渫工事の目的と期間 ・使用する船舶や機械の種類 ・浚渫工事の施工方法 ・浚渫土の処分方法と場所

港湾区域内での浚渫は港湾管理者(多くの場合は地方自治体)に、漁港区域内では漁港管理者に申請します。それぞれの管理者によって申請書類や手続きが異なるため、事前の確認が重要です。

浚渫土の処分に関する許可

浚渫によって発生した土砂(浚渫土)を処分する場合も許可が必要です。海洋投入処分を行う場合は海洋汚染防止法に基づく許可が必要となります。また、陸上処分する場合も関連法令の規制を受けることがあります。

浚渫土に汚染物質が含まれている場合は、土壌汚染対策法や廃棄物処理法に基づく特別な処理が求められることもあります。処分方法の選定には事前の土質調査結果が重要な判断材料となります。

許可申請から承認までは通常1〜3ヶ月程度の期間を要するため、工事計画には十分な準備期間を設けることが大切です。また、地域住民や漁業関係者など利害関係者への事前説明も円滑な許可取得のために欠かせません。

浚渫(しゅんせつ)とは のメリット

浚渫(しゅんせつ)工事を行うことには、水域の安全性向上や環境改善など、さまざまなメリットがあります。

ここでは主な3つのメリットについて詳しく解説します。

浚渫(しゅんせつ)とは のメリット1:航行の安全性確保

浚渫を行うことで、港湾や航路の水深を確保し、船舶の安全な航行を実現できます。

水域の底に土砂が堆積すると、大型船舶が座礁するリスクが高まります。特に港湾では、貨物船やタンカーなどの大型船が安全に入港するためには一定の水深が必要です。

浚渫により適切な水深を維持することで、船舶の運航効率も向上します。水深が不足すると、積載量を減らさなければならなくなり、輸送効率が悪化するためです。

世界の主要港では、大型コンテナ船に対応するため、水深14〜16メートル程度を確保する浚渫が定期的に行われています。これにより国際物流の効率化と安全性向上が実現しています。

浚渫(しゅんせつ)とは のメリット2:洪水防止と治水能力の向上

河川やダム湖での浚渫は、洪水防止と治水能力向上に大きく貢献します。

河川に土砂が堆積すると、洪水時の水の流れが阻害され、氾濫リスクが高まります。浚渫によって河床を下げ、河川の断面積を確保することで、より多くの水を安全に流すことができるようになります。

特に都市部の河川では、周辺の宅地化により河川幅を広げることが難しい場合が多いため、浚渫による河床の掘り下げが治水対策として重要な役割を果たします。

また、ダム湖の浚渫は貯水能力を回復させ、洪水調整機能を維持するのに効果的です。長年の使用でダム湖に土砂が堆積すると、貯水量が減少し、洪水調整能力も低下するためです。

浚渫(しゅんせつ)とは のメリット3:水質・環境改善

水域の底質改善による水質向上も、浚渫の重要なメリットです。

湖沼や閉鎖性水域では、底に有機物や栄養塩類が蓄積すると、水質悪化や富栄養化の原因となります。浚渫によって汚染された底泥を除去することで、水質改善効果が期待できます。

汚染物質を含む底泥の除去は、水生生物の生息環境改善にもつながります。特に重金属や有害物質が蓄積した底質の浚渫は、生態系回復に効果的です。

また、浚渫によって水の流れが改善されることで、水中の溶存酸素量が増加し、水生生物の生育環境が向上する効果も期待できます。これにより生物多様性の保全にも寄与します。

浚渫(しゅんせつ)とは のデメリット

浚渫(しゅんせつ)工事には多くのメリットがある一方で、いくつかの重要なデメリットや課題も存在します。

ここでは主な3つのデメリットについて詳しく解説します。

浚渫(しゅんせつ)とは のデメリット1:生態系への悪影響

浚渫工事は水中の生態系に対して一時的あるいは長期的な悪影響を及ぼす可能性があります。

浚渫作業によって水底の生息環境が破壊されると、底生生物や水生植物の生息地が失われます。これにより、その水域に生息する生物の多様性が低下することがあります。

また、浚渫作業中は水の濁りが発生し、水中の光量が減少するため、水生植物の光合成が阻害されます。さらに、魚類のエラに濁りが付着することで呼吸障害を引き起こす可能性もあります。

特に産卵場や稚魚の生育場となっている水域での浚渫は、水生生物の再生産に大きな影響を与えることがあります。このため、生態系への影響を最小限にするための工法選定や時期の調整が重要です。

浚渫(しゅんせつ)とは のデメリット2:高額な費用負担

浚渫工事は非常に高コストな事業であり、費用面での負担が大きいというデメリットがあります。

特殊な機械や船舶を使用するため、初期投資や運用コストが高額になります。大規模な港湾浚渫では数億円から数十億円の費用がかかることも珍しくありません。

また、浚渫は一度行えば永続的に効果があるわけではなく、定期的に実施する必要があります。河川や港湾では土砂の堆積が続くため、数年ごとにメンテナンス浚渫が必要となり、長期的な費用負担が発生します。

浚渫土の処分費用も大きな負担となります。特に汚染された浚渫土の場合、特別な処理が必要となり、処分コストが通常の何倍にもなることがあります。

浚渫(しゅんせつ)とは のデメリット3:浚渫土処分の問題

浚渫によって発生する大量の浚渫土の処分方法は、重要な環境問題となっています。

浚渫土の量は工事規模によりますが、大規模な浚渫では数万立方メートルから数百万立方メートルにもなります。この膨大な量の土砂の処分場所の確保が課題となります。

特に浚渫土に有害物質や重金属などの汚染物質が含まれている場合、そのまま再利用したり処分したりすることができません。適切な処理施設での浄化や封じ込めが必要となり、処理コストや環境負荷が増大します。

かつては浚渫土の海洋投棄が一般的でしたが、環境保護の観点から規制が厳しくなっており、新たな処分方法や有効利用法の開発が求められています。現在は埋立材や人工干潟の造成など、浚渫土の有効活用が進められています。

浚渫工事の出来形管理基準

浚渫(しゅんせつ)工事の出来形管理基準とは、工事の品質や精度を確保するために設けられた基準です。この基準に従って工事を実施し、検査することで、適切な浚渫が行われたかを判断します。

国土交通省の土木共通仕様書では、浚渫工法ごとに異なる出来形管理基準が定められています。浚渫工事では、主に基準高(水深)、幅、延長の3つの要素が重要な管理対象となります。

ポンプ式浚渫工事の出来形管理基準

浚渫船運転工(ポンプ浚渫船(電気船200ps))を使用した浚渫工事の出来形管理基準は以下の表のとおりです。

スクロールできます
測定項目許容範囲測定頻度略図
基準高+200mm
-800mm
延長方向:設計図書指定の測点毎
横断方向:5m毎
斜面:法尻、法肩、必要に応じ中間点
浚渫工出来形管理の略図
-200mm
延長-200mm

ポンプ浚渫工事では、基準高について深くなる方向(-側)に800mmまでの許容範囲が認められています。これは、ポンプ浚渫の特性上、均一な水深を確保することが難しいためです。

グラブ式・バックホウ式浚渫工事の出来形管理基準

グラブ浚渫船およびバックホウ浚渫船を使用した浚渫工事の出来形管理基準は以下の表のとおりです。

スクロールできます
測定項目許容範囲測定頻度略図
基準高+200mm延長方向:設計図書指定の測点毎
横断方向:5m毎
斜面:法尻、法肩、必要に応じ中間点
浚渫工出来形管理の略図
-200mm
延長-200mm

グラブ式・バックホウ式浚渫工事では、基準高について浅くなる方向(+側)にのみ許容範囲が設定されており、深くなる方向への制限はありません。これらの工法は比較的精度の高い浚渫が可能なためです。

いずれの工法においても、各測定値の平均値が設計基準高以下(必要な水深が確保されている)であることが条件となります。出来形管理は工事の品質確保だけでなく、契約上の支払条件にも関わる重要な要素であるため、施工中の定期的な確認と適切な管理が求められます。

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この記事を書いた人

売上げ30億円規模の建設会社で11年間施工管理従事。億越えの土木公共工事を数多く竣工。2024年Liftco合同会社設立、代表として元請土木建設会社の書類支援サービスを展開しながら、SEOライティングでマーケティングやリクルート支援を行う。

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