ファクタリングとは?仕組みと種類をわかりやすく図解で解説

「売掛金の入金まで待てない」「銀行融資の審査が通らない」——そんな資金繰りの悩みを抱える中小事業者に注目されているのがファクタリングです。この記事では、ファクタリングの基本的な定義から、2者間・3者間の仕組みの違い、メリット・デメリット、悪徳業者の見分け方、審査のポイントまでを順番にわかりやすく解説します。

目次

ファクタリングとは|売掛金を早期に現金化するサービス

ファクタリングとは、事業者が持つ売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却し、本来の入金日よりも早く現金を受け取る資金調達サービスです。銀行融資と異なり「お金を借りる」のではなく「債権を売る」行為であるため、借入として貸借対照表に計上されません。経済産業省も普及を後押ししており、中小企業の資金繰り改善策として利用者が増えています。

売掛金(売掛債権)とは何か

売掛金とは、商品やサービスを先に提供し、後から代金を受け取る権利のことです。建設業では工事完了後の請求に対して、翌月末・翌々月末などに入金されることが一般的です。入金まで1〜2か月待つ間、材料費・外注費・人件費を先払いしなければならないため、手元資金が不足しやすい構造になっています。

売掛金は「代金を受け取る権利(債権)」であり、この権利自体を第三者に譲渡することができます。これがファクタリングの前提となる考え方です。

ファクタリングの定義をわかりやすく解説

ファクタリングを一言で表すと「売掛金の早売り」です。

たとえば100万円の売掛金があり、入金が2か月後だとします。ファクタリング会社に90万円(手数料10%引き)で売却すれば、今日90万円を手にできます。売掛先からの入金はファクタリング会社が直接受け取る、またはいったん自社口座に届いてからファクタリング会社に送金する形になります。

事業者側は手数料分のコストがかかりますが、2か月待つことなく資金を確保できるのが最大の特徴です。

ファクタリングが注目される背景

日本の商取引では「先に商品・サービスを提供し、後払いで代金を受け取る」信用取引が一般的です。特に建設業・運送業・製造業では入金サイトが60〜120日と長い場合も珍しくなく、資金繰りの悩みは業界共通の課題です。

銀行融資は審査に時間がかかり、赤字決算や創業直後では利用できないケースもあります。ファクタリングはそのような場合でも売掛先の信用力をもとに審査されるため、比較的利用しやすい資金調達手段として広まっています。

ファクタリングの仕組みをステップごとに解説

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ファクタリングには「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」という2種類があります。それぞれ手続きの流れと手数料の水準が異なるため、自社の状況に合わせて選ぶことが大切です。

2者間ファクタリングの流れ

2者間ファクタリングは、利用企業(自社)とファクタリング会社の2者のみで契約を結ぶ方式です。売掛先には一切通知しません。

① 自社が取引先(売掛先)に商品・サービスを提供し、売掛金が発生する

② 自社がファクタリング会社に売掛金を売却し、手数料を差し引いた金額を受け取る

③ 入金日に売掛先から自社口座に代金が振り込まれる

④ 自社がファクタリング会社に同額を送金する

④の工程がポイントです。2者間では売掛先からの入金が一度自社口座に届き、自社がファクタリング会社へ転送します。売掛先への通知が不要なため、取引関係を維持したまま資金調達できます。手数料の相場は10〜20%程度です。

3者間ファクタリングの流れ

3者間ファクタリングは、自社・ファクタリング会社・売掛先の3者全員が契約に参加する方式です。売掛先の事前承諾が必要です。

① 自社が売掛先に商品・サービスを提供し、売掛金が発生する

② 売掛先にファクタリング利用の通知・承諾を取得する

③ 自社がファクタリング会社に売掛金を売却し、手数料を差し引いた金額を受け取る

④ 入金日に売掛先がファクタリング会社へ直接代金を支払う

3者間では売掛先がファクタリング会社に直接支払うため、自社が「入金を受け取って転送する」工程がありません。ファクタリング会社側のリスクが低いため、手数料は1〜10%程度と2者間より安くなります。

2者間と3者間ファクタリングの違いを比較表で整理

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比較項目2者間ファクタリング3者間ファクタリング
売掛先への通知不要必要(承諾が条件)
手数料の相場10〜20%1〜10%
資金化までの速度最短即日数日〜1週間程度
売掛先への影響なし知られる可能性あり
手続きの手間少ない(2者のみ)多い(売掛先の協力が必要)

手数料を抑えたいなら3者間、売掛先に知られたくないなら2者間を選ぶのが基本的な判断軸です。

ファクタリングと他の資金調達方法との違い

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ファクタリングは銀行融資・手形割引・ビジネスローンとよく比較されます。それぞれの違いを整理しておきましょう。

銀行融資との違い

銀行融資は「お金を借りる」行為です。返済義務があり、利息がかかります。審査には決算書・事業計画書・担保・保証人が必要で、結果が出るまで数週間〜1か月かかることもあります。

ファクタリングは「売掛金を売る」行為です。返済義務はなく、担保・保証人も原則不要です。審査は売掛先の信用力をもとに行われるため、自社が赤字でも利用できる場合があります。ただし手数料は融資の金利より高くなります。

手形割引との違い

手形割引は約束手形を銀行や割引業者に持ち込み、満期日前に現金化するサービスです。ファクタリングと目的は似ていますが、対象が「手形」か「売掛金(請求書)」かという点で異なります。近年は手形利用の削減が政府方針として推進されており、請求書のみで利用できるファクタリングが代替手段として広まっています。

主な資金調達方法の比較表

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比較項目ファクタリング銀行融資ビジネスローン手形割引
資金化の速度最短即日数週間〜1か月数日〜1週間数日
担保・保証人不要必要なことが多い不要不要
審査の厳しさ低め厳しい中程度中程度
費用感高め(手数料)安め(金利)中程度(金利)安め(割引料)
返済義務なし(債権売却)ありありあり
B/Sへの影響負債計上なし負債が増える負債が増える負債が増える

ファクタリングのメリット5つ

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ファクタリングには融資にはないメリットが複数あります。特に資金繰りが月単位で動く建設業・運送業・製造業の事業者にとって有効な手段です。

最短即日で資金調達できる

ファクタリングの最大の強みはスピードです。申込から審査・入金まで、最短で当日中に完了する業者も多くあります。「今月末の支払いに間に合わない」という緊急時にも対応できる点は、銀行融資では実現しにくいメリットです。

担保・保証人が不要

銀行融資では不動産担保や連帯保証人を求められるケースが多くあります。ファクタリングは売掛金そのものが担保の役割を果たすため、別途の担保や保証人は原則不要です。創業間もない法人や個人事業主でも利用しやすい理由の一つです。

赤字・税金滞納でも利用できる

ファクタリングの審査は、主に「売掛先(取引先)の信用力」を見ます。自社の財務状況が悪くても、売掛先が大手企業や公共機関であれば審査に通りやすくなります。赤字決算・税金滞納・債務超過の状態でも利用できた事例は多くあります。

貸借対照表(B/S)に負債が計上されない

銀行から借入をすると、貸借対照表の負債が増え、自己資本比率が下がります。ファクタリングは「売掛金(資産)を現金に置き換える」取引であるため、負債は増えません。財務状況を悪化させずに資金調達できる点は、今後融資を受けたい事業者にとって大きなメリットです。

売掛先の倒産リスクを回避できる(ノンリコース契約の場合)

「ノンリコース(償還請求権なし)」のファクタリング契約では、売掛先が倒産しても利用企業に返金義務が生じません。売掛先の倒産リスクをファクタリング会社に移転できるため、売掛金の焦げ付きリスクをヘッジする手段としても活用できます。契約前に「ウィズリコース(償還請求権あり)」か「ノンリコース」かを必ず確認してください。

ファクタリングのデメリットと注意点

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ファクタリングは便利な資金調達手段ですが、把握しておくべきデメリットがあります。

手数料が融資より高い

ファクタリングの手数料は、2者間で10〜20%、3者間で1〜10%が相場です。たとえば100万円の売掛金に対して手数料15%なら、受け取れるのは85万円です。銀行融資の年利1〜3%と比較すると割高であるため、頻繁な利用はコスト負担が積み重なります。緊急時の一時的な資金繰り対策として位置づけ、常態化させないことが大切です。

3者間では売掛先にファクタリング利用が知られる

3者間ファクタリングは売掛先の承諾が必要です。「資金繰りに困っているのでは」と取引先に思われ、信用を損なうリスクがあります。建設業では元請けや発注者との長期的な関係が重要なため、この点は慎重に判断してください。売掛先に知られたくない場合は2者間ファクタリングを選んでください。

継続利用で資金繰りが悪化するリスクがある

ファクタリングを繰り返し利用すると「来月の売掛金を今月使う」サイクルが続き、資金繰りの首が徐々に詰まる悪循環に陥ることがあります。緊急時の一時的な手段として活用し、資金繰り計画全体の改善と並行して取り組むことが大切です。

売掛金の全額は受け取れない

ファクタリングでは、手数料を差し引いた金額しか受け取れません。たとえば手数料20%なら、売掛金の8割しか手元に残りません。手数料を含めたコスト計算を事前に行ってから利用を判断してください。

ファクタリングの審査基準と必要書類

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ファクタリングの審査は銀行融資よりも緩やかですが、通過するためのポイントを押さえておきましょう。

審査で見られる主なポイント

ファクタリングの審査は、主に以下の観点から行われます。

  • 売掛先の信用力:売掛先が大企業・上場企業・官公庁であるほど有利
  • 売掛金の実在性:請求書・契約書など証拠書類が揃っているか
  • 売掛金の入金実績:過去に問題なく入金されていた売掛先か
  • 売掛金の入金時期:入金が1〜2か月以内か(遠すぎる債権は断られる場合がある)

自社の赤字・税滞納は審査項目ではありますが、売掛先が信頼できる企業であれば許容されるケースが多いです。

一般的な必要書類

業者によって異なりますが、一般的に求められる書類は以下のとおりです。

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書類内容
請求書ファクタリング対象の売掛金に関するもの
通帳コピー(入出金履歴)直近3か月分
身分証明書代表者の本人確認用
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)法人の場合
基本契約書売掛先との取引実績を示すもの

銀行融資で必須となる「決算書」「事業計画書」「担保書類」は、多くのファクタリング業者では不要です。

審査に通りやすい売掛先の特徴

以下の条件に当てはまる売掛先の債権は、ファクタリング審査で有利です。

  • 上場企業・大手企業・官公庁・地方自治体
  • 過去に支払い遅延のない取引先
  • 長期にわたる継続取引の実績がある
  • 入金サイトが2か月以内

逆に、売掛先が個人・中小企業・支払い遅延歴ありの場合は、審査が通りにくい場合があります。

ファクタリング会社の選び方

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ファクタリング業者は数多く存在し、中には悪質な業者も潜んでいます。以下のポイントで安全な業者を選んでください。

手数料の透明性を必ず確認する

複数の業者に見積もりを取り、手数料を比較してください。「初回無料」「審査費用無料」をうたう業者でも、後から高額な手数料を提示するケースがあります。見積もりは必ず書面(メール含む)で確認し、口頭だけでの合意は避けましょう。

2者間ファクタリングの適正手数料は10〜20%、3者間は1〜10%が目安です。これを大幅に超える手数料を提示してくる業者は要注意です。

法人登記・所在地・代表者名を確認する

信頼できる業者かどうかを確認するために、以下をチェックしてください。

  • 法人登記があるか(国税庁の法人番号公表サイトで確認できます)
  • ホームページに所在地・代表者名が明記されているか
  • 電話番号が固定電話か(携帯番号のみの業者は要注意)
  • 契約書が整備されているか

会社概要が不明瞭、連絡先が携帯のみ、契約書を渡さないなどの業者は悪質業者の可能性があります。

給与ファクタリングには絶対に応じない

「給与の前払い」をファクタリングと称して提供する「給与ファクタリング」は、2020年に金融庁が貸金業法違反にあたると通知しています。給与はファクタリングの対象となる売掛債権ではないため、法律上問題のあるサービスです。個人向けの「給与ファクタリング」の勧誘には絶対に応じないでください。

リコース(償還請求権)の有無を事前に確認する

「ウィズリコース(償還請求権あり)」の契約では、売掛先が倒産した場合にファクタリング会社から返金を求められます。これは事実上「貸金」に近い性質であり、注意が必要です。リスクをファクタリング会社に移転したい場合は、「ノンリコース(償還請求権なし)」の業者を選んでください。

ファクタリングに関するよくある質問

ファクタリングはやばいですか?違法ではありませんか?

ファクタリング自体は合法のサービスです。経済産業省・金融庁も普及を推進しています。ただし、悪質な業者による違法な契約(貸金業登録なしでの事実上の金銭貸付)も存在します。業者を選ぶ際は法人登記・手数料の透明性・契約書の有無を必ず確認してください。

ファクタリングをかけると売掛先にわかりますか?

2者間ファクタリングを選べば、売掛先に通知する必要はありません。入金は従来どおり自社口座に届き、その後自社がファクタリング会社に送金するため、売掛先には知られません。売掛先への影響を心配する場合は2者間を選んでください。

個人事業主はファクタリングを利用できますか?

利用できます。ただし売掛先が個人(一般消費者)の場合は断られる業者が多く、売掛先が法人や官公庁である必要があります。フリーランスのエンジニア・デザイナー・一人親方など、法人取引のある個人事業主であれば利用しやすいです。

ファクタリングを「飛ばす」とどうなりますか?

「飛ばす」とは、ファクタリング会社に送金すべき売掛金の入金を使い込む行為です。これは詐欺罪・横領罪に該当する可能性があり、刑事事件に発展するケースもあります。絶対に行ってはなりません。

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この記事を書いた人

売上げ30億円規模の建設会社で11年間施工管理従事。億越えの土木公共工事を数多く竣工。2024年Liftco合同会社設立、代表として元請土木建設会社の書類支援サービスを展開しながら、SEOライティングでマーケティングやリクルート支援を行う。

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