【建設業の退職金制度】建退共と中退共の違いをわかりやすく解説!いくらもらえる?いつもらえる?

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「建退共に入ってるけど、40年働いたら1,000万円くらいもらえるんじゃないの?」
そんなイメージを持っていませんか?

実はその感覚、少し危ないかもしれません。
退職金制度を正しく理解しておかないと、いざ引退するタイミングで「想像と違った…」と後悔する恐れがあります。

この記事では、建設業でよく使われる「建退共(建設業退職金共済制度)」と「中退共(中小企業退職金共済制度)」について、それぞれの仕組み・受取条件・金額・安全性を徹底的にわかりやすく解説します。

目次

建退共とは?

建設業に従事している方の多くが利用している退職金制度が「建退共(けんたいきょう)」です。
一般企業とは異なり、現場単位で雇用が切り替わる建設業界では、独自の仕組みが必要とされてきました。
ここでは、建退共の基本的な仕組みから、受取条件、実際の支給額、制度の安全性まで詳しく解説します。

制度の仕組みと目的

建退共(けんたいきょう)は、建設業で働く人のために作られた退職金制度です。現場ごとに雇用先が変わるなど、継続した勤続が難しい建設業の特性に対応するために、国が設けた共済制度です。

仕組みのポイント:

  • 事業主が共済契約を結ぶ
  • 働いた日数分の「共済証紙」を手帳に貼る
  • 建設業をやめたときに、共済本部から退職金が支払われる

一人親方のように、雇用形態が曖昧な人でも対象になる柔軟な制度です。


受取条件と請求方法

建退共の退職金は「会社を辞めたとき」ではなく、建設業そのものから離れたときに受け取れます。

主な請求事由は以下の通りです。

請求理由必要書類
建設業を辞めた(独立・転職・無職など)最後の事業主の証明、雇用証明書など
55歳以上になった住民票など
病気やけがで就労不能医師の診断書等
死亡時戸籍謄本、遺族の住民票など

試算結果|どれくらいもらえるのか?

試算条件:

  • 20歳から55歳まで勤務(35年間)
  • 週6日勤務、年間10ヶ月稼働(失業期間2ヶ月)
  • 総勤務日数:9,100日
  • 使用する共済証紙:310円券

この条件で建退共本部のシミュレーターを使用すると、約513万円という結果になりました。

「1,000万円くらい」と思っていた方には、少し衝撃かもしれません。


資産運用と安全性

建退共の財務状況(令和元年時点):

  • 総資産:約9,865億円
  • 普通預金:約204億円
  • 主な運用先:債券
  • 運用実績:+0.32%

非常に堅実な運用方針で、制度の安定性も高く、破綻の心配はほとんどありません。

中退共とは?

建退共が建設業向けの退職金制度であるのに対し、中退共(ちゅうたいきょう)は中小企業で働く従業員のための共済制度です。
昭和34年から運用されており、多くの企業で導入されています。
この章では、中退共の制度概要、受け取りの条件、退職金の目安、安全性などを解説します。

制度の仕組みと目的

中退共(ちゅうたいきょう)は、中小企業で働く従業員のために国が設けた退職金共済制度です。昭和34年に創設され、退職金制度の導入が難しい企業でも、簡単に管理できる仕組みが整えられています。

仕組みのポイント:

  • 事業主が月額掛け金を支払う
  • 金額は5,000〜30,000円の範囲で設定可
  • 勤続期間や掛金に応じて退職時に一括支給

受取条件と請求方法

退職金が支給されるのは、会社を退職したときです。以下のケースも含まれます。

  • 定年退職
  • 死亡時
  • 管理職への昇進(形式上の退職)

【請求の流れ】

  1. 退職時に事業主から「退職金手帳」「請求書」を受け取る
  2. 必要事項を記入
  3. 中退共本部へ書類を郵送

試算結果|どれくらいもらえるのか?

試算条件(建退共と同条件に近づけるため):

  • 月額掛金:8,000円(=310円 × 26日分)
  • 積立期間:35年(20歳〜55歳)

中退共の退職金表によると、約404万円の支給額となります。

建退共と比べて少なく感じる方も多いでしょう。

なお、実際の平均掛金は7,600円で、**最も多いのは月5,000円(全体の56%)**という統計もあり、退職金額はさらに少ない可能性もあります。

資産運用と安全性

中退共の財務状況(令和元年時点):

  • 総資産:約4兆9,362億円
  • 普通預金:約1,047億円
  • 主な運用先:債券
  • 運用実績:+0.32%

こちらも非常に安定した運用がされており、リスクはほぼありません。

建退共と中退共の違いを比較

建退共と中退共は、いずれも国の退職金制度でありながら、仕組みや対象者、受取額に大きな違いがあります。
この章では、それぞれの制度を横並びにして、違いをわかりやすく比較します。
自分の働き方に合った制度を選ぶための参考にしてください。

受取金額の差

項目建退共中退共
勤務条件日数による積立月額掛金制
試算金額(35年)約513万円約404万円
実態としての差比較的高め掛金に対してやや少なめ

※中退共は失業期間を想定せず試算しているため、より不利に見えます。

掛金と仕組みの違い

比較項目建退共中退共
積立方法日数ベース(証紙)月額ベース(掛金)
対象業種建設業中小企業全般
対象者職人・一人親方も含む主に雇用された従業員
受取タイミング建設業を完全に離れたとき退職時

資産・運用方針の違い

どちらも債券中心の保守的な運用で、同じ+0.32%の利回り実績です。

比較項目建退共中退共
総資産規模約9,865億円約4兆9,362億円
普通預金約204億円約1,047億円
債券比率約48.3%約47.1%

※建退共のほうがやや積極的な運用が見られます。

どちらが自分に向いているか?

状況向いている制度
建設業に長く従事する予定建退共
建設業を離れる予定がある中退共への切替・iDeCo併用も視野に
雇用が安定している中小企業勤務中退共
現場が頻繁に変わる・一人親方建退共

まとめ|退職金制度を正しく理解して将来設計を

建退共も中退共も、長い年月をかけて積み上げる「老後資金の柱」となる制度です。
しかし、「入ってるから大丈夫」と思い込むのではなく、実際にいくらもらえるのか・いつもらえるのかを把握しておくことが重要です。

退職後に後悔しないためにも、今のうちに加入状況を確認し、場合によってはiDeCoや企業型DCといった資産形成も併用しながら、将来に備えていきましょう。

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この記事を書いた人

売上げ30億円規模の建設会社で11年間施工管理従事。億越えの土木公共工事を数多く竣工。2024年Liftco合同会社設立、代表として元請土木建設会社の書類支援サービスを展開しながら、SEOライティングでマーケティングやリクルート支援を行う。

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