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山岳地帯や豪雪地帯で暮らす方々にとって、雪崩は命に関わる身近な自然災害です。また、道路・鉄道・ダムなどのインフラ設計においても、雪崩対策は欠かせない設計要件となっています。この記事では、雪崩の定義・分類・発生メカニズム・危険度の判断方法、そして土木構造物による防護対策まで体系的に解説します。
雪崩とは、斜面に積もった雪が重力の作用によって一気に流下する現象です。速度は小規模なもので時速20〜30km、大規模な乾雪雪崩では時速200〜300kmに達することもあり、その破壊力は建物や橋梁を一瞬で倒壊させるほどです。
雪崩は「積雪が斜面上を重力によって流下する現象」と定義されます。英語ではavalanche(アバランシュ)と呼ばれ、国際的な防災・土木文献ではこちらの表記が標準です。規模・形態・発生層位によってさまざまな分類があり、対策工法の選択にも分類の理解が不可欠です。
雪崩が起きやすい斜面には共通した条件があります。一般的に斜度30°〜45°の斜面が最も危険とされ、25°以下では雪が動きにくく、45°以上では雪が積もる前に滑落するため逆に雪崩が少なくなる傾向があります。また、植生のない開けた斜面・凸型の地形・南向きで日射を受けやすい斜面なども雪崩の発生を促す条件です。
雪崩はその発生層位・雪の性質・流下形態によって複数の方法で分類されます。対策工法の選定には、種別の正確な理解が求められます。
最も重要な分類が「表層雪崩」と「全層雪崩」の区別です。
| 項目 | 表層雪崩 | 全層雪崩 |
|---|---|---|
| 発生層位 | 積雪の表層のみ | 積雪の全層(地面まで) |
| 発生時期 | 冬季・降雪直後 | 春季・融雪期 |
| 雪の状態 | 乾いた粉雪(乾雪) | 水分を含んだ重い雪(湿雪) |
| 速度 | 非常に速い(最大300km/h) | 比較的遅い(〜100km/h) |
| 規模 | 大規模になりやすい | 中〜大規模 |
| 主な被害 | 衝撃圧・気圧波による破壊 | 押しつぶし・埋没 |
表層雪崩は速度が速く広範囲に被害を及ぼすのに対し、全層雪崩は土砂や岩石を巻き込みながら流下するため、下流の河道を閉塞させる危険性があります。
雪の状態による分類では、乾いた低温の雪が流下する「乾雪雪崩(粉雪雪崩)」と、融雪水を含んだ重い雪が流下する「湿雪雪崩」に大別されます。乾雪雪崩は気流を巻き込みながら高速で流下し、前面に雪煙(スノークラウド)を形成します。雪煙の衝撃圧だけで構造物を破壊することがあり、特に危険です。
雪崩が発生するには、積雪内部の力学的バランスが崩れる必要があります。発生のトリガーを理解することは、危険予測の基礎になります。
雪崩発生の核心は弱層(じゃくそう)の形成です。弱層とは、強度の低い積雪層のことで、その上に重い雪が積み重なると滑動が起きやすくなります。弱層を形成する主な要因は次のとおりです。
・しもざらめ雪:冷え込みが強い夜間に積雪内部で水蒸気が移動し、砂糖のような結晶を形成する。粒子間の結合力が極めて低い。
・クラスト層:表面が一度溶けて再凍結した氷板層。上方の積雪が滑りやすい面になる。
・雨水浸透層:融雪水や雨水が浸透して積雪下部に水を溜め、積雪全体が地面から浮き上がる状態になる(全層雪崩の前駆状態)。
降雪の直後は積雪が不安定になりやすく、特に24時間以内に30cm以上の積雪があった場合は危険度が高まります。気温の急上昇は湿雪雪崩の引き金になり、強風は吹き溜まりを作って局所的に積雪量を増加させます。また、人的要因(スキーヤーの通過・爆破振動・音)も誘発要因になることが知られています。
雪崩リスクは科学的な手法で評価・予報されており、防災計画や道路管理の重要な判断材料となっています。
国際的には1〜5の5段階で危険度を表す「アバランシュ・ハザード・スケール」が使われています。日本でも国土交通省・気象庁が類似のスケールを採用しています。
| レベル | 危険度 | 自然発生の可能性 | 人的誘発の可能性 |
|---|---|---|---|
| 1 | 低い | ほぼなし | 急斜面での誘発ありうる |
| 2 | 限定的 | 稀 | 急斜面で誘発されやすい |
| 3 | 顕著 | あり | 緩斜面でも誘発されうる |
| 4 | 高い | 複数予想 | 多くの斜面で誘発 |
| 5 | 非常に高い | 大規模なものを含む | 発生が広範囲 |
レベル3以上では山岳活動の中止や通行規制の判断が必要とされます。
現地調査では、次のようなサインが雪崩危険度の高まりを示します。
雪崩の被害を防ぐ土木的手法は「防止工」と「防護工」に大別されます。計画地の地形・規模・用途に応じて組み合わせて設置します。
防止工は雪崩の発生源で積雪の移動を防ぐ構造物です。
| 工法名 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| 雪崩防止柵(スノーフェンス) | 斜面に鉄製・木製柵を格子状に設置 | 積雪を固定し滑動を防止。最も広く使われる |
| スノーネット | 金属ネットを斜面に張る | 軽量・施工が容易・維持管理が比較的楽 |
| 雪崩予防林 | 斜面に樹木を植栽 | 自然な方法で積雪を固定。長期的効果 |
| 雪庇防止柵 | 稜線に設置し吹き溜まりを防ぐ | 表層雪崩の発生を源流部で制御 |
防護工は発生した雪崩を受け止めるか安全な方向へ誘導する構造物です。
| 工法名 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| 雪崩防護堤(スノーダム) | 流下路の下部に堤体を構築 | 雪崩を捕捉・堆積させる |
| スノーシェッド | 道路・鉄道の上を覆う構造物 | 通過する雪崩から線形施設を保護 |
| 雪崩誘導堤 | 流下方向を安全な場所へ変える壁体 | 集落・施設を避けて迂回させる |
| アースダム | 土構造の堤防 | コストが安い・大規模な雪崩に対応 |
スノーシェッドは山岳道路で頻繁に見られる代表的な防護工で、コンクリート製のトンネル状構造物が斜面からの雪崩を受け流します。
一概にはいえませんが、速度の面では表層雪崩(乾雪雪崩)が最大時速300kmに達し、衝撃圧と気圧波で広範囲に被害を及ぼすため瞬間的な破壊力が高いです。全層雪崩は速度は遅い一方、土砂・岩石を巻き込みながら流下し、河道閉塞を引き起こすことがあります。それぞれ異なる危険性を持ちます。
一般的に斜度30°〜45°の斜面が最も雪崩が起きやすいとされています。25°以下では雪が動きにくく積もりやすいため雪崩は少なく、45°以上では雪が積もる前に滑落するため逆に雪崩が減ります。ただしこれはあくまで目安で、積雪の状態・弱層の有無・気温変化などによって実際の危険度は変わります。
スノーシェッド(snow shed)は、道路や鉄道の上を覆うコンクリート製または鉄骨製のトンネル状の防護構造物です。斜面から流下してきた雪崩を屋根の上を通過させることで、道路や線路への被害を防ぎます。山岳地帯の幹線道路や鉄道路線で広く使われています。
雪崩(なだれ)は積雪が斜面を流下する自然災害で、英語名はavalanche(アバランシュ)です。発生層位によって「表層雪崩(乾雪・高速)」と「全層雪崩(湿雪・春季)」に大別され、積雪内部の弱層形成がトリガーとなります。危険度は国際標準の5段階スケールで評価され、レベル3以上では通行規制の検討が必要です。対策は「防止工(スノーフェンス等)」と「防護工(スノーシェッド等)」を組み合わせて計画し、地形・雪崩規模・保護対象に応じた工法を選定してください。
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