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土木現場に入りたての方は、「土留め」という言葉を聞いても「山留めと何が違うのか」「どんな種類があるのか」と疑問を持つことが多いでしょう。土留めは、法面や掘削工事など幅広い場面で土砂の崩壊を防ぐための重要な構造物です。この記事では、土留めの意味・読み方・山留めとの違い・種類・施工手順をわかりやすく解説します。
土留めには大きく2つの使われ方があります。
場面は異なりますが、「土が崩れるのを防ぐ」という目的は共通です。
土留め(どどめ)とは、法面(のりめん)や段差から土が崩れるのを防ぐために設置される構造物のことです。読み方は「どどめ」が土木・建設業界で一般的ですが、「つちどめ」とも読まれます。方言ではなく、れっきとした建設用語です。
土留めは大きく「永久構造物」と「仮設構造物」の2種類に分けられます。外構工事や造成工事で設置するコンクリート擁壁は永久構造物として残り続けます。一方、建物の基礎を作るための掘削工事では、工事中だけ設置する仮設の土留めが使われます。
「土留め」という言葉は意味の幅が広く、コンクリート擁壁も鋼矢板(シートパイル)も同じ「土留め」と呼ばれることがあります。現場では文脈に応じてどちらの意味かを判断してください。
土留め(どどめ)と山留め(やまどめ)は、ほぼ同じ意味で使われます。厳密には次のように使い分ける場合があります。
| 用語 | 主な使用場面 | 構造の性格 |
|---|---|---|
| 土留め(どどめ) | 外構・造成・掘削工事全般で使われます | 永久・仮設どちらも含みます |
| 山留め(やまどめ) | 掘削工事(建築・土木)で使われます | 主に仮設構造物を指します |
実際の現場では両者を区別せず使うことも多く、ほぼ同義語として扱われています。国土交通省の仕様書では「土留め工」という表記が用いられています。
出典:国土交通省|公共建築工事標準仕様書
土留めが必要になる場面は主に2つあります。
どちらも「土が崩れると危険・工事が進められない」という問題を解決するために設置します。
敷地に高低差がある場合、何も対策をしないと雨水や地震によって土が崩れる危険があります。土留め工事をすることで、崩壊を防ぎ、隣地や道路への土砂流出を抑えられます。
また斜めの法面をそのままにしておくと、使えない土地が生まれます。土留めで土を垂直に止めることで、有効に使える土地を増やせるメリットもあります。外構工事では擁壁が土留めの役割を果たすことが多く、コンクリートブロックや現場打ちコンクリートが使われます。
建物の基礎工事や地下工事では、地面を深く掘り下げる必要があります。何も対策をしなければ、掘った穴の周囲の地盤が崩れてしまいます。これを防ぐために設置するのが仮設土留めです。
仮設土留めでは鋼矢板やH鋼などを地中に打ち込み、腹起し(はらおこし)・切梁(きりばり)などの支保工で支えます。工事が終わったら撤去する「仮設構造物」として扱われます。適切な土留めがなければ工事中の崩壊事故につながるため、安全管理上、欠かせない施工です。
土留めには工法・材料によっていくつかの種類があります。代表的な4種類を比較します。
| 種類 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| コンクリート打ち放し擁壁 | 強度が高く、費用は高めです(1m²あたり3〜6万円程度) | 高低差が大きく、土圧が強い場所に向いています |
| CPブロック積み(CP型枠) | 工期が短く、コストを抑えやすい工法です | 高低差が小さく、形状が単純な場所に向いています |
| 間知ブロック積み擁壁 | 狭い場所でも施工しやすい工法です | 施工スペースが限られる場所に向いています |
| 簡易土留め(L型・鋼矢板等) | 施工が速く、費用を低く抑えられます(1m²あたり5,000〜1万円程度) | 高低差が少なく土圧が小さい場所に向いています |
※費用はあくまで参考目安です。地盤条件・施工面積・地域によって大きく異なります。
コンクリート打ち放し擁壁は、高強度が求められる大規模な土留め工事に最も適した工法です。
鉄筋を組んで型枠を設置し、生コンクリートを流し込む工法です。強度が高く、高低差が大きい場所や土圧が強くかかる場所に適しています。施工費用の目安は1m²あたり3〜6万円程度とされており、他工法と比べてコストは高くなります。しかし耐久性が高く、長期間にわたって安定した性能を発揮できます。
擁壁の高さが2mを超える場合は、建築基準法第88条に基づいた確認申請が必要になる場合があります。設計段階で管轄の建築指導課へ確認するようにしてください。
出典:e-Gov法令検索|建築基準法第88条
型枠設置が不要なCP型枠工法は、工期短縮とコスト削減を両立できる実用的な選択肢です。
コンクリートブロックを積み上げ、ブロック内の空洞に生コンクリートを充填する工法です。ブロック自体が型枠の役割を果たすため、型枠の設置・撤去が不要になります。その結果、コンクリート打ち放し擁壁より工期を短縮できます。
施工費用の目安はコンクリート打ち放し擁壁より1〜2割程度安くなることが多く、工期重視の現場でよく採用されています。高低差がそれほど大きくなく、形状がシンプルな場所に向いています。
施工スペースが狭い現場では、間知ブロック積み擁壁が有力な選択肢となります。
間知(けんち)ブロック積み擁壁は、仕上がりが垂直ではなく緩やかな傾斜をもちます。ブロック間の隙間に生コンクリートを充填するため、強度もしっかり確保できます。
施工スペースが狭い場所でも対応しやすく、比較的スピーディに施工できるのが特長です。土留めをしたい場所の奥行きが取れない現場で選ばれることが多い工法です。
高低差が小さく土圧も軽微な場所では、簡易土留めがコストパフォーマンスの高い選択肢です。
高低差が小さく土圧があまりかからない場所では、L型ブロックや連結式ブロックを使った簡易的な土留めが使われます。生コンクリートで固める必要がないため、施工が最も速く、コストも低く抑えられます。
掘削工事の仮設土留めとして「鋼矢板(シートパイル)」が使われることも多く、工事完了後に引き抜いて再利用できます。鋼矢板のリース費用は1m²あたり5,000〜1万円程度が目安とされており、仮設工事では標準的な選択肢となっています。
土留め工事の流れは、仮設か永久構造物かによって異なりますが、基本的なステップは共通しています。
仮設土留めは、打設から撤去まで段階的に進めることで、安全かつ効率的な掘削工事が実現できます。
掘削工事では、鋼矢板やH鋼を先行して地中に打設し、掘り進めながら支保工を追加していくのが基本的な流れです。以下に6つのステップをまとめました。
1. 鋼矢板・H鋼の打設:バイブロハンマーなどで地中に鋼材を打ち込みます。地盤条件によって適切な打設工法を選定してください。
2. 腹起しの取り付け:土留め壁に沿って水平に腹起しを設置します。土圧を均等に分散させる部材です。
3. 切梁の設置:対向する腹起しの間に切梁を渡し、土圧に対抗させます。掘削深度が増すにつれて段数も増えていきます。
4. 段階的な掘削:切梁を追加しながら、所定の深さまで掘り進めます。一度に深く掘りすぎないことが安全管理の基本です。
5. 本工事の施工:基礎・地下構造物などを構築します。この段階が工事全体の中心となります。
6. 仮設材の撤去:本工事完成後、切梁 → 腹起し → 鋼矢板の順に撤去します。撤去後は地盤の変位がないか必ず確認してください。
工法や高低差・地盤条件によって大きく異なります。目安としてはコンクリート打ち放し擁壁が1m²あたり3〜6万円程度、CPブロック・間知ブロック擁壁が1m²あたり2〜4万円程度、鋼矢板(仮設)が1m²あたり5,000〜1万円程度(リース費用)です。実際の費用は地域・施工会社・現場条件によって異なりますので、複数の業者から見積もりを取るようにしてください。
厳密には異なります。「土留め」は土砂崩れを防ぐ構造物の総称であり、擁壁はその手段のひとつです。擁壁はコンクリートやブロックで土を永久的に支える構造物を指します。仮設の鋼矢板などは擁壁とは呼びません。
擁壁の高さが2mを超える場合、建築基準法第88条に基づき確認申請が必要です。2m以下でも自治体の条例によって申請が必要なケースがあるため、着工前に管轄の建築指導課へ確認するようにしてください。
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